紙本 淡彩
101×28㎝ / 178×30㎝
与謝蕪村は松尾芭蕉、小林一茶と並び、江戸時代を代表する俳諧の巨匠です。さらに優れた画人でもあり、晩年には、詩的な画と情感たっぷりの俳句が相互に響きあう俳画の世界を確立しました。本作では、同じ春の夜を見つめながらも、夕暮れのひとときを惜しむ中国の詩人と、紫に染まる明け方に美を見出す日本の歌人の姿を描いています。見れば思わず笑みがこぼれるようなほのぼのとした画風はまさに蕪村の真骨頂。言葉と絵のあいだを軽やかに行き来した蕪村だからこそ、国を越えて、二人の歌人と詩人が並び語らう幻想の光景を描き得たのではないでしょうか。
賛:
もろこしの詩客は一刻の宵をゝしみ 日のもとの歌人はむらさきの曙をうらめり 春の夜や宵曙のその中に