本展は終了しました。
加島美術では、2023年12月2日(土)から12月10日(日)にかけて、安倍安人展「焼く備前−語りかける桃山茶陶・備前−」を開催いたします。本展では安倍安人の真骨頂とも言うべき「彩色備前」をはじめ、奥深く古典的な備前焼、油彩画まで、安人の多彩な表現をお楽しみいただけます。
備前焼の巨匠・安倍安人は1959(昭和34)年、昭和を代表する洋画家・宮本三郎に師事し、作家の道に入りました。個展を開催するなど精力的に活動を行うなか、1972(昭和47)年34歳の時に陶芸の道に入り、以降新たな表現を模索し始めます。
安人の桃山時代の茶陶に対する探究心と作陶技術の追求は、単なる古典の継承にとどまらず、備前焼の新たな可能性を導き出しました。赤・青・黄・緑と豊かな色彩が施された安倍安人の代表的シリーズ「彩色備前」は、安人が「三点展開」と「焼おとし」と呼ぶ独自の技法によって、生み出されています。桃山茶陶を現代陶芸へと昇華した安人の作品は、国内外でも高く評価され、アメリカのメトロポリタン美術館や台湾国立故宮博物院にも収蔵されています。
本展ではこの「彩色備前」に加え古典的な備前焼、そして創作の起点である油彩画作品など、約50点を出展。安倍安人が築きあげた、時代を超えた豊かな表現をご堪能ください。
本展に際して
「焼く備前−語りかける桃山茶陶・備前−」
桃山時代のお茶の道具として生まれた備前焼の名器の数は極めて少ない。
興味深いのは、壷や擂鉢の様な民芸とは焼成法が全く異なる。
その大きな違いは、民芸の一度の焼成に比べ、茶の物は何度も、ものによっては何十回も繰り返して焼き込んである。又その焼きの手順が、茶碗、水指、花入、鉢、手鉢に至るまで、上下・裏表を逆に窯詰めして何度も焼成する。そして最後に上下・裏表を正常に窯詰めして仕上げ焼成がしてある。
やきものにとってこの違いは、世界に類がないのではと考えられる。
一年に一回程の窯焚きでは、一点完成させるために何年も時間が必要になる。したがって土や窯は、それなりの味や性格を持ったものが豊かに存在したからだろう。
ちなみに古くから備前は耐火煉瓦の一大産地でもある。
私の作品は、土も窯も関係なく、焼成温度と酸化・還元のみで構成している。
桃山でも現代でもなく、私の焼き成りをと考えている。
― 安倍安人
作家プロフィール|安倍安人(1938~)
1938 年大阪市に生まれ、21歳から現代美術研究所・宮本三郎教室に学ぶ。30代から本格的に陶芸の道に入り、岡山県瀬戸内市牛窓町に築窯。1996年、ニューヨークにて海外での初個展「安倍安人展」を開催。その後、フランスでの個展「ANJIN ABE」展(2002年、パリ)開催、アメリカ「Arts of Pacific Asia Show」(2008年、サンフランシスコ)出品など国外にも活躍の領域を広げる。国際陶芸アカデミー会員。また、島根デザイン専門学校設立時に陶芸部門の企画を担当。積極的に学術講演を行うなど、後進の育成と陶芸の普及にも力を注いでいる。
【PUBLIC COLLECTIONS】
愛媛県立美術館、絲原記念館、笠間日動美術館、加納美術館、京都国立近代美術館、西条松平神社 宝物館、島根県横田町芸術の森、大宰府天満宮宝物殿、中島美術館、沼津御用邸100周年記念公園、兵庫陶芸美術館、三浦美術館、Ateliers d’ de France(フランス)、Museum of Decorative Arts and Design(ラトビア)、National College of Art & Design(アイルランド)、Asian Art Museum(アメリカ)、New Mexico Museum of Art(アメリカ)、ミント美術館(アメリカ)、メトロポリタン美術館(アメリカ)、アリアナ美術館(スイス)、フィッツウィリアム美術館(イギリス)、国立故宮博物院(台湾)、新北市立鶯歌陶瓷博物館(台湾)
作家Webサイト:http://www.abe-anjin.com/
出展作品(一部)
開催概要
安倍安人展「焼く備前−語りかける桃山茶陶・備前−」
会期:2023 年 12月 2 日(土)~12 月 10 日(日)
会場:加島美術ギャラリー2F(東京都中央区京橋3-3-2)
出展作品総数 約50点 / 観覧無料 / 販売有