本展は終了しました。
19世紀末、欧米諸国を中心に急速に国際化が進み、各国がその文明の栄華を競い合った万国博覧会が盛り上がりを見せます。新しい文化の息吹は産業の世界のみならず、美術の世界にも起こり、それまでにない美術の潮流が数多く生まれました。そんな華やかな舞台で、世界を驚かせた日本美術の巨匠たちがいました。渡邊省亭、河鍋暁斎、柴田是真。その類まれな美的感覚と表現力は海を越え、当時欧米諸国で盛んに開催された万国博覧会という大舞台でも、賞賛を集めました。
また彼らは、近年特に再評価の機運が著しい絵師たちでもあります。ジャポニズムの熱狂を背景として欧米を席捲し、華々しい功績を残しながらも、抗えぬ時代のうねりの中で“近代日本美術史の本流”とされた官製の美術史から、長い間忘れ去られていたのです。しかし時は流れ、今またかつての輝きを完全に取り戻しつつあります。今最も見るべき日本美術とも言える絵師たちの作品が一堂に!ぜひご高覧ください。
出展作家について
柴田是真(1807-1891)
是真は江戸に生まれた漆工(蒔絵師)であり、四条派を学んだ画家でもありました。是真の仕事で特筆すべきは漆絵です。是真は漆絵において新技法を創始し、明治期の漆工界に大きな足跡を残しました。また日本画においても、粘性の強い漆で洋風の質感を伴う漆絵を多く残し、欧米において高い評価を得ています。
―ウィーン万博(1873)出品、進歩賞牌受賞
―フィラデルフィア万博(1876)出品、賞牌受賞
―パリ万博(1889)出品、金賞牌受賞
河鍋暁斎(1831-1889)
暁斎は江戸に育ち、狩野派の画塾を卒業後、幕末からは狂画(戯画)、錦絵を手掛けて人気を博しました。欧米においては特に浮世絵、狂画で知られます。暁斎の画を彩るのは「反骨」と「風刺」の精神。類稀なる画才を武器に、権力に抗い、皮肉を込めて時代を鋭く批判したその作風は、現代において尚、色褪せるどころか輝きを増すかのようでもあります。鹿鳴館ほか、日本近代建築を象徴する数々の名建築の設計者として知られる建築家ジョサイア・コンドルが暁斎に入門しているのも興味深いエピソードです。
―ウィーン万博(1873)にて会場の日本庭園を飾る大幟「神功皇后・武内宿禰の図」を制作
―フィラデルフィア万博(1876)出品
渡邊省亭(1852〜1918)
柴田是真の取り持ちで、歴史画を得意とした菊池容斎に弟子入りします。1878年パリ万博での評判を機に渡仏。彼の地では印象派との邂逅を果たし、エドガー・ドガに絵をプレゼントした逸話が残ります。また、これが初めて日本画家がパリの地に渡った事例だとも言われています。
容斎や是真から継承した洗練された江戸の美意識と、渡仏によって身に着けた西洋感覚とを高い次元で融合させた画風は、日本美術を見る機会が減ってしまった現代の私たちの目にも馴染みやすく、近年特にファンを増やしています。
―パリ万博(1878)出品、銅牌受賞
―アムステルダム国際植民地貿易博覧会(1883)出品、銀牌受賞
―シカゴ万国博覧会(1893)出品
本展のみどころ
今日本美術で最も注目度の高い絵師たちの作品が一堂に!
確かな写実力と色彩感覚を、精緻な省筆と洗練された構図感覚で自在に操った孤高の神絵師、渡辺省亭。明治時代になり多くの江戸絵師が廃業を迫られる中、抜群の画技と軽やかなユーモアで絵師としての反骨精神を貫いた河鍋暁斎。粋で洒脱な天性のセンスと、鍛え抜かれた漆工の技術から編み出される漆絵が、唯一無二の作風を醸す柴田是真。今日本美術の世界で最も話題をさらう注目の絵師たちの作品約40点が揃います。日本美術がお好きな方はもちろん、描かれた当時、欧米の人々の心を掴んだ彼らの作品は、普段日本美術を見慣れないことが多くなってしまった現代の私たちの目にも、広く楽しむことのできる魅力があります。
カタログは無料、自宅でゆっくり楽しめる。
新型コロナウイルスの流行に終息の兆しが見えない不安な状況が続きますが、本展に出品される作品や展示会の雰囲気を、ご自宅にいながら少しでもお楽しみいただけるように、本展の全作品を掲載したカタログをご用意しました。本カタログは、ご希望の皆様全員に無料でお送りいたします。また紙のカタログ以外でもパソコン、スマートフォンなどでもご覧いただけるオンラインカタログもご用意しております。ぜひこの機会にお申し込みください。価格も明記しているので、お気に入りの作品が見つかりましたら、お電話やFAX、メールにてお問い合わせいただく事ができます。
貴重な作品の数々をガラスケースなしに見ることができます!
会場では貴重な作品の数々を、ガラスケースを使わずに展示しております。ガラス越しではなかなか感じることのできない作品の佇まい、作家の筆遣いをぜひ直接おたのしみください。
出展作品(一部)
開催概要
省亭・暁斎・是真 ーパリ・フィラデルフィア万博、海を越えた明治の日本美術ー
- 開催日時
2021年4月24日(土)-5月5日(水・祝)
10:00〜18:00会期中無休/入場無料/販売有
- 出品点数
約40点(予定)
- 出展作家
渡辺省亭、河鍋暁斎、柴田是真
- 会場
加島美術
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ご注意
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※本展では、会場内の撮影はご遠慮いただいております。
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