本展は終了しました。
明治から大正時代に活躍をした孤高の日本画家・渡邊省亭の珠玉の名品が一堂に会する企画展「宴 Vol.3 The SEITEI」を開催いたします。渡邊省亭初の大型画集『渡辺省亭画集』に所載される花鳥画や歴史画、美人画、仏画、風景画、動物画に節句画など多彩な24点を中心に、省亭の妙なる魅力をご紹介いたします。
明治期に日本画家として初めてパリに渡り、印象派の画家たちをはじめ西欧の人々を魅了した絵師・渡邊省亭。フェノロサや岡倉天心からも認められていたにも関わらず、晩年は画壇に属さず、弟子もとらず、市井の画家として画業に専念したため、類稀なる実力と海外での評価とはうらはらに、近代美術史の中でその名は埋もれていました。しかし、2021年、東京藝術大学大学美術館にて国内美術館初となる大規模な回顧展「渡辺省亭—欧米を魅了した花鳥画—」が開催され、さらに省亭の全貌に迫る初の大型画集『渡辺省亭画集』が小学館より刊行されるなど、国内外の日本美術の研究者や愛好家を中心に、再評価の機運は高まり続けています。
加島美術では、近年の省亭再評価の一端を担うべく、2017年以降国内外の皆様に省亭作品をご紹介してまいりました。本展では、『渡辺省亭画集』所載の名品24点を中心に明治初期から大正にわたって描かれた多彩な作品を展示いたします。会期中には、省亭関連書籍の店頭特別販売や、日本美術継承協会の企画による渡邊省亭の再評価に深く関わる山下裕二氏、古田亮氏のトークイベントを行います。
渡邊省亭とは
明治から大正時代にかけて活躍した日本画家。16歳の時に歴史画家・菊池容斎に入門し、筆使いや写生力を磨きました。明治8年に就職した美術工芸品輸出業を営む起立工商会社からの派遣により日本画家として初めてパリに洋行留学を行ない、ジャポニズムの影響を受けたエドガー・ドガら印象派の画家と交流を深めます。西洋の洒脱なセンスと日本画の伝統様式、写実表現が合わさる独自の洗練された作風を切り開き、万国博覧会への出品やロンドンでの個展にて花鳥画を中心に発表するなど国際的に活躍。迎賓館赤坂離宮・花鳥の間、小宴の間に飾られる濤川惣助の手掛ける七宝工芸の図案も手掛けました。晩年は自ら中央画壇と距離を置き、市井の画家として注文に応じての制作を行いました。海外での評価は高く、メトロポリタン美術館、フリーア美術館、大英博物館をはじめとする名だたる美術館が省亭作品をコレクションしています。
見どころ1
『渡辺省亭画集』所載の名品24点を中心に、約30点の豪華作品群を間近でご高覧いただけます!
なかには東京藝術大学大学美術館の回顧展「渡辺省亭—欧米を魅了した花鳥画—」に出展された、国内に現存する省亭作品の中でもっとも制作年数が早いとされる「歴史人物画帖」、画集本体の表紙にも使用されている「龍頭観音」、瀟洒な雰囲気で上野の四季を描いた「四季江戸名所」、ほか「冬の花鳥」「鐘馗に鯉」など名品が並びます。
見どころ2
花鳥画だけではない省亭の魅力をご紹介いたします!
繊細優美な花鳥画の名手として広く知られる渡邊省亭ですが、風俗画や節句画や季節毎の風景画、動物画、吉祥画も多く手掛けています。花鳥画とはひと味違う、洒脱であり情感豊かな作品群をご堪能いただけます。
関連書籍を特別販売!
会期中、渡邊省亭初の豪華画集『渡辺省亭画集』(監修 山下裕二、古田亮)を店頭にて特別販売いたします。本展の出展作品24点を含めた150点以上の省亭の名品が収載された同画集は、渡邊省亭という絵師の画業の全貌をご覧いただける大変貴重な一冊です。本展会場にてお求めいただくと全国送料無料となりますので、この機会にぜひお求めください。さらに、2021年に東京藝術大学大学美術館で開催された『渡辺省亭—欧米を魅了した花鳥画—』の公式ガイドブックや省亭初の評伝『評伝 渡辺省亭 晴柳の影に』(古田あき子 著)も販売いたします。
トークイベント開催 ※4月15日 情報を更新しました!
渡邊省亭の再評価に深く関わる山下裕二氏、古田亮氏による対談を開催いたします。
この数年、省亭の再評価に深く関わられてきた両氏のそれぞれのご活動や実を結んだ東京藝術大学大学美術館での大規模回顧展『渡辺省亭̶ 欧米を魅了した花鳥画̶ 』の開催、そして今後の展望などを齋田記念館主任学芸員の峯岸佳葉氏をモデレーターに交えながらお話しいただきます。
また、観るものを魅了する精緻で華美な作品世界をじっくりと味わうことができる省亭の全画業を収載した豪華大型画集も展覧会に合わせ小学館より刊行されました。その監修や執筆にそれぞれの立場で関わられた皆様の制作にまつわる裏話なども伺える貴重な機会となります。
さらに東京藝術大学大学美術館での後期展示が中止となったことで、東京では観覧する事が叶わなかった渡辺省亭絶筆「春の野邊」をご所蔵者様のご厚意で特別展示いたします。当日ご参加の方のみの鑑賞会となりますので人数に限りはございますが、この希少な機会をどうぞお見逃しなく。
開催日:2024年5月6日(月・祝)
時間:15時―17時30分
*対談後「春の野邊」特別鑑賞会を予定しております。 お時間のない方は事前にお知らせくださいませ。
チケット販売:4月17日(水)12:00より販売開始
登壇者:山下裕二氏(明治学院大学文学部芸術学科教授)×古田亮氏(東京藝術大学大学美術館教授)
モデレーター:峯岸佳葉氏(齋田記念館主任学芸員)
場所:加島美術
*クロークスペースが狭くなっておりますので、大きいお荷物のご持参はお控えくださいますようお願い申し上げます。
参加料:1,500円 *収益の一部は能登半島地震の義援金とさせていただきます。
定員:40名(申込先着順) *参加者の皆さまには、加島美術発行の展示会図録を進呈
企画:日本美術継承協会
▼チケットお申込みはこちらから▼
https://theseitei2024.peatix.com/
(本イベントは定員に達したため、お申し込みを締め切りました。)
開催概要
タイトル : 宴 Vol.3 The SEITEI
会期 : 2024年4月27日(土)〜 5月12日(日) *会期中無休
時間 : 10:00 〜 18:00
作品点数 : 約30点
展示予定作品 :《歴史人物画帖》、《袈裟御前・瀑布図》、《龍頭観音》、 《四季江戸名所》、《向島雪景色》、《冬の花鳥》、《節分之図》、 《朝顔双鷄之図》、《中月下竹林・右雨中桜・左雪柳鴉》、《雨中山水》、 《鍾馗に鯉》、《あさの桜に燕の図》、《石山寺》、《雪月花》、《卯とし試筆》、 《月下水郷山水》、《中月夜秋草左右雨雪山水》、《しだれ桜に鶯鳥》、 《深林雪景》、《深山月》、《岩に鷹》、《上巳》、《猫に蝶の図》、 《美術世界》、《蘆白鷺図》、《鹽冶髙貞妻浴後之図》、 《春 小松引之図 夏 柳下之鷺 秋 瀧乃川紅楓 冬 温牡丹小鳥》、《雨中桐花》他