Work / writer
WORK OF THE MONTH
田中一村「観世音菩薩」
紙本 着色 共箱
「田中一村展 奄美の光 魂の絵画」出品
134×60㎝ / 219×77㎝
田中一村は、奄美大島の自然を鮮やかな色彩と独特の世界観で描いたことで知られる画家です。一村が奄美大島に移住したのは昭和33年50歳の頃。それまでは関東を拠点に、南画や花鳥画、風景画など様々な画題に取り組みました。観音菩薩は、終戦前後の30代で大病を患ったことを境に描き始めたといわれており、本作も昭和15〜20年に描かれたものと考えられます。
岩場の荒々しい筆致とは対照的に、観世音菩薩は凛とした姿で描かれ、あらゆる苦難を超越した力強さが感じられます。生涯、独自の道を歩み、日本美術史に燦然と輝く存在となった田中一村の孤高の美が感じられる作品です。