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WORK OF THE MONTH
狩野探幽「破墨山水図」
紙本 水墨
23×88㎝ / 120×99㎝
狩野永徳を祖父に持ち、わずか16歳で江戸幕府の御用絵師となった狩野探幽。その華麗な生涯と、晩年まで衰えることのなかった創作意欲は、岡倉天心に「画壇の家康」と称されました。
探幽の水墨画は、古典に学んだ様式美と、墨の濃淡を巧みに操る遠近表現が魅力です。本作では、淡墨と濃墨を用いた「破墨」の技法により、立体感と質感が見事に描き出されています。豊かな余白は静謐な情景を際立たせ、山裾の木々の合間に佇む寺院らしき建物には人の気配さえ感じられます。水墨の世界に生命を吹き込む、探幽の卓越した筆致が光る一幅です。